介護リフォームは、高齢者や障がい者が快適に生活できるような住宅への改修を指します。バリアフリー化や安全対策など、さまざまな工事が含まれます。この記事では、介護リフォームの種類やリフォームに関連する補助金について解説します。家族や身近な人が安心して生活できる環境づくりに役立つ情報を提供します。

介護リフォームとは

介護リフォームとは、高齢者や障害のある方など、介護を必要とする人が安全かつ快適に日常生活を送るために、住環境を見直し、設備の交換や間取りをリフォームすることです。

日本では、高齢者の増加にともない、介護リフォームの需要がますます高まっています。消費者庁の調査によると、65歳以上の方が転倒などの事故で亡くなる割合が交通事故の約4倍にも上ります。

そして、転倒事故のほとんどが家の中で起こっています。とくに80歳以上になると、身体機能の低下によりつまずいたり転倒するリスクが増大します。その結果、骨折などの重大なケガを負い、介護が必要になるケースもあるのです。

高齢者の事故を未然に防ぐには、手すりの取り付けや段差の解消などの安全対策をおこないます。

安全対策により、これまで暮らしてきた家で生活を続けられるという安心感が生まれ、心理的な安定にもつながります。

介護リフォームを検討する際のポイント

介護リフォームを検討する際のポイントとして、要介護者（介護が必要な方）だけではなく、介護者（サポートする方）の視点も重要です。

まず、要介護者が暮らしやすい環境の整備が重要です。年齢とともに日常生活における課題が増える中、介護リフォームによって問題を解消し、自立した生活を維持できるようサポートします。要介護者自身にていねいに寄り添いながら、意見や希望を尊重したリフォームが大切です。

そして、介護者の負担軽減も重要です。介護は身体的、精神的に大きな負担を強いられる場合があります。介護リフォームでは、要介護者の生活だけではなく、介護者の負担も考慮して計画されます。要介護者と介護者の意見が合わない場合には、専門家のアドバイスが有益です。

介護者の負担が軽減されれば、要介護者により快適な環境が整い、より満足できる生活が送れます。

介護リフォームの種類

高齢化社会が進む現代において、介護リフォームはますます重要性を増しています。介護リフォームには、高齢者や要介護者の生活にあわせたさまざまな種類があります。

ここでは、介護リフォームの主な種類について解説します。

手すりの取り付け

手すりの取り付けは、転倒や転びそうなときの支えになります。廊下やトイレ、浴室など、移動や立ち上がりが難しい箇所への取り付けにより、安心して日常生活を送れます。適切な位置や高さへの取り付けが重要であり、個々の状況に合わせた設置が必要です。

段差の解消

部屋や廊下などにある段差は、つまずきや転倒の原因となります。とくに車いすを利用する方にとっては、段差があると移動が困難です。そこで、段差を解消するために、段差を取り除く、スロープを設置するなどの方法があります。

床材の変更・滑り止めの設置

高齢者は床が滑りやすく、転倒の危険が高まります。そこで、床材を見直し、滑り止めの設置をおこなうと、安全を確保できます。また、掃除のしやすさも考慮し、介護者の負担を軽減できます。

扉の変更

開き戸は、高齢者や要介護者にとって体をよけるのが難しい場合があります。引き戸や折り戸への変更により、スムーズな出入りが可能になります。また、ドアノブを握りやすいレバーハンドルに変更することで、使いやすさを向上させられます。

便器の取り替え

和式トイレは、立ち座りの動作が難しく、転倒のリスクが高まります。洋式トイレへの取り替えにより、安全かつ快適なトイレ環境を用意できます。また、便座をかさ上げするなどの工夫をすることで、トイレの利用がよりスムーズになります。

介護リフォームでは補助金が利用できる？

高齢化社会が進む中、介護リフォームのニーズがますます高まっています。しかし、その費用は膨大で、多くの方にとって大きな負担になります。そこで、補助金や助成金が活用されるケースがあります。

ここでは、その仕組みや活用方法について解説します。

介護保険を利用する

介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みです。介護保険制度の利用により、住宅改修費用の一部が国から補助されます。要支援1～2、要介護1～5の人が住む家が対象であり、事前に申請が必要です。

具体的な補助対象となるリフォームの例としては、手すりの取り付けや段差の解消、滑り防止や移動の円滑化のための床や通路面の材料の変更、引き戸への扉の取替え、洋式便器への取替えなどが挙げられます。支給限度基準額は20万円であり、収入に応じて自己負担が1～3割となります。

また、介護の状態が変化した場合や、転居した場合にも再度補助が受けられる可能性があります。

市区町村の助成金を利用する

介護保険以外にも、自治体ごとに助成金が提供される場合があります。たとえば、大阪市では、介護保険を利用しても支給されない部分について市からの助成金が出ます。

神奈川県川崎市や兵庫県神戸市でも高齢者や介護が必要な方を対象にした助成金制度があります。助成金は、日常生活を補うための必要最小限の工事やバリアフリー改修工事などに活用できます。

減税制度を利用する

介護のためのリフォームや改修には、所得税や固定資産税などの減税制度も適用される場合があります。たとえば、所得税の場合はバリアフリー改修をした場合に一定額の控除が受けられます。

また、固定資産税においても新築後10年以上の住宅に対してバリアフリー改修工事をおこなった場合に減税の対象となります。

まとめ

介護リフォームは、安全で快適な生活を送るための重要な手段です。しかし、リフォームをおこなう際には、要介護者と介護者の双方の視点を考慮し、個々の状況やニーズに合わせた計画や工事が必要です。また、補助金や助成金、減税制度を活用することで、介護リフォームの費用負担を軽減できます。専門家の助言を仰ぎながら、適切なリフォームをおこないましょう。

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